公募研究 | 科学研究費補助金 新学術領域研究「新海洋像:その機能と持続的利用」

科学研究費補助金 新学術領域研究「新海洋像:その機能と持続的利用」

公募研究(H27・28年度)

栄養塩供給と湧昇から迫る新海洋区系:超・高解像度北太平洋物理・生物モデル解析

研究者数: 3名

研究代表者 見延 庄士郎 北海道大学・ 教授
連携研究者 佐々木 克徳 北海道大学・ 講師

鯨類による海洋区系の時空間的利用様式―安定同位体分析からのアプローチ―

研究者数: 3名

研究代表者 金治 佑 国立研究開発法人水産研究・教育機構 国際水産資源研究所・研究員
連携研究者 岡崎 誠 国立研究開発法人水産研究・教育機構 国際水産資源研究所・主任研究員
連携研究者 吉田 英可 国立研究開発法人水産研究・教育機構 国際水産資源研究所・グループ長

本研究では、鯨類の食性指標となる炭素・窒素安定同位体比の分析から (1)鯨類による海洋区系の時空間的利用様式、(2)食物連鎖網のフロー推定に基づく、複数の生態系システム検出に取り組む。本領域内で、研究代表者らが平成25–26年度に実施した公募課題『鯨類からみた海洋区系と機能』では、小型ハクジラ類16種の地理分布と海洋物理環境との関係を分析した結果、北太平洋に存在する複数の海洋区系が、鯨類の種分布域によって代表できる可能性が示された。一方で物理環境が食物連鎖網を通して、鯨類の生態特性決定に至るまでの生物学的プロセスには不明な点が多い。安定同位体比の分析から、鯨類が生態系で果たす役割を明らかにするとともに、本研究を研究項目03計画研究7の課題『広域回遊魚類の資源変動メカニズムと海洋区系』へ受け渡すことで、総合的な海洋生態系研究へ繋げる。

海洋法および漁業者の多様性と整合的な高度回遊性魚種の資源管理制度の研究

研究者数: 2名

研究代表者 東田 啓作 関西学院大学経済学部・ 教授
連携研究者 柴田 孝 大阪商業大学経済学部・ 准教授

公募研究(H25・26年度)

海氷融解過程を考慮した極域海洋像の構築

研究者数: 2名:研究報告

研究代表者 西岡 純 北海道大学低温研究所環オホーツク観測研究センター・ 准教授
連携研究者 安田 一郎 東京大学大気海洋研究所・ 教授

極域である北極海と、亜極域であるオホーツク海およびそれに隣接した亜寒帯海域をフィールドとして観測研究を実施する。極域・亜極域でマッピング観測を実施し、海氷融解水が、表層の化学物質の分布や栄養環境に影響を及ぼす範囲を明らかにしていく。得られる研究結果を、海氷の影響の及ぶ範囲を見直す事につなげ、本新学術領域研究で目指す「新海洋区分」の中で、極域・亜極域海洋の位置づけを再構築する。

太平洋の表層塩分変動の解明に基づく新たな海洋区系の構築

研究者数: 1名:研究報告

研究代表者 岡 英太郎 東京大学大気海洋研究所・ 准教授

塩分は水温とならぶ、海洋物理学の最も基本的なパラメタであるが、歴史的データの少なさのため、その変動の理解は水温に比べてはるかに遅れている。しかし2000 年以降アルゴフロート観測網が整備され、塩分の変動を追うことがようやく可能となった。そこで本研究課題では、アルゴデータ、衛星海面高度データ、各種海面フラックスデータ等の公開データの解析に基づき、太平洋の各海域における表層塩分の変動とそのメカニズム、また海域間の変動の関係を解明し、それらの塩分変動が表層循環の力学に与える影響を明らかにする。それにより、これまで主に水温の変動により整理されてきた太平洋の表層循環変動の描像を再構築することを目指す。

外洋域の乱流観測に基づく物質鉛直輸送に関する研究

研究者数: 3名:研究報告

研究代表者 安田 一郎 東京大学大気海洋研究所・ 教授
連携研究者 西岡 純 北海道大学低温研究所環オホーツク観測研究センター・ 准教授
連携研究者 小松 幸生 東京大学大気海洋研究所・ 准教授

海洋の鉛直混合は、亜表層以深に高濃度で分布する栄養塩類を有光層にもたらすことによって、生物生産速度を左右する重要な海洋物理過程である。鉛直拡散による表層有光層への物質供給が物質種で異なることを通じて、乱流による物質輸送が、その物質を消費する海洋生物の多様性を維持する一因となっている可能性がある。本研究では、北西太平洋夏季外洋域、夏季南太平洋、及び、晩冬親潮域における鉛直混合と鉛直混合による各種物質鉛直フラックスを観測によって明らかにし、物質循環や生物生産と対比して、鉛直混合に関わる物質輸送からみた新しい海洋像を提示することを目的とする。

新海洋区系における大気海洋間の物質循環の影響解明

研究者数: 3名:研究報告

研究代表者 植松 光夫 東京大学大気海洋研究所・ 教授
連携研究者 三浦 和彦 東京理科大学理学部・ 准教授
連携研究者 長田 和雄 名古屋大学大学院環境学研究科・ 准教授

南北太平洋、両極域から熱帯まで西経170度線上を縦断する2つの白鳳丸航海において、海洋大気中の気体やエアロゾル、降水中の海洋生物活動に影響を与える化学成分の濃度を測定する。測定結果と衛星による降水量分布を取込んだ解析結果を用いて、乾性沈着量、湿性沈着量を算出する。これらの化学成分の起源を同定し、平均的な輸送パターンを季節毎に作成する。また、南北太平洋で化学成分の沈着量分布を作成し、物質循環への寄与を明らかにする。海洋生物活動を制限している可能性がある栄養塩類の窒素、リン、鉄について、試料採取時、あるいは採取後に存在状態別の定量を行い、大気からの生物利用可能な部分の供給量を見積り、区系毎の海洋生態系への寄与を明らかにする。海洋生物活動によって生成された気体が大気中に放出され、別の区系へ輸送の割合、あるいは粒子化されて、再び海洋環境へ戻る物質循環過程の寄与を総合的に評価する。

最新の安定同位体分析技術を応用した海洋物質循環速度定量法の革新

研究者数: 1名

研究代表者 角皆 潤 名古屋大学環境学研究科・ 教授

本研究では、最新の同位体分析技術を海洋観測に応用することで、総一次生産速度や新生産速度、総窒素固定速度などの物質循環速度の定量を実現する。最先端の同位体定量技術に基づく新手法を当該領域の観測研究と結びつけることで、各種物質循環のマッピング作成に直接的に貢献するとともに、当該領域の目標とする新しい海洋区分の策定や、新たな海洋像の抽出にも貢献することを目指す。また、全海洋の窒素固定速度定量値が過小評価となっている可能性が指摘されているが、本研究の観測を実現することで、この可能性を検証する。

外洋性広域回遊生物のサイズ構造における時空間変動の解明

研究者数:3名:研究報告

研究代表者 東海 正 東京海洋大学海洋科学部・ 教授
連携研究者 塩出 大輔 東京海洋大学大学院海洋科学系・ 助教
連携研究者 横田 耕介 水産総合研究センター 開発調査センター・ 研究員

本課題は、新たな海洋区系における生態系の構造と機能を評価する上でキーとなる高次捕食生物について,それらを採集するための流し網の採集特性を明らかにしながら,その体サイズ構造の時空間変動をより精確に把握することに取り組む。外洋域において高度に回遊する生物を採集するには,流し網による採集,漁獲が効率的である。しかし流し網は刺し網の一種であるため、目合(網目の大きさ)に応じた体の大きさの魚を採集するいわゆるサイズ選択性を有する。採集された生物のサイズ構造とその生物量をより精確に推定するには,こうした漁具によるサイズ選択性を求めて,体長組成(サイズ構造)を補正する必要がある。このために、本研究では,これまで長期間に渡って継続的に行われてきた複数目合を用いた流し網調査結果から,流し網のサイズ選択性を種ごとに解明する。そして,その影響を補正して,体サイズ構造の時空間構造における偏りを取り除くことに取り組み,その成果を同じA03班の他の研究項目に受け渡す。本研究成果は流し網の調査,資源・漁業管理に関して広く利用されることが期待されるとともに,A04班における公海域の生物資源の持続的な利用のための社会科学分野にも新たな情報を提供でき,環境負荷の少ない漁業のあり方とその評価へも展開していくことが期待できる。

鯨類からみた海洋区系と機能

研究者数: 2名:研究報告

研究代表者 金治 佑 水産総合研究センター国際水産資源研究所・ 研究員
連携研究者 岡崎 誠 水産総合研究センター中央水産研究所・ 主任研究員

現在、地球上には約85種の鯨類が生息し、それらの生息域を熱帯・亜熱帯性種、亜寒帯性種など古典的な海洋区系に基づき分類してきた。しかし、こうした旧来の大雑把な区分では、鯨類の分布特性を海洋物理環境や物質循環、生態系構造と関連づけて詳細に把握することは困難であった。そこで本研究では、北太平洋の東西方向および南北方向における、鯨類の種構成の違いや出現確率の変化などの分布特性を、海洋環境との関連で説明し、高次捕食者からみた新たな海洋区系を提案する。同時に、鯨類のハビタット利用様式から、生態系における鯨類の役割を明らかにし、この結果を研究項目03計画研究7の課題『広域回遊魚類の資源変動メカニズムと海洋区系』へ受け渡すことで、総合的な海洋生態系研究へ繋げる。

不合理漁獲の発生メカニズムの解明と区系の自然科学的特質に応じた資源管理方策の検討

研究者数: 4名:研究報告

研究代表者 松井 隆宏 三重大学大学院生物資源学研究科・ 准教授
連携研究者 中島 亨 東京大学大学院農学生命科学研究科・ 特任助教
研究協力者 村上 智明 東京大学大学院農学生命科学研究科・ 特任研究員
研究協力者 後藤 潤 東京大学大学院農学生命科学研究科・ 博士課程

自主管理・共同管理を中心とするわが国の漁業管理がどのような時に成立し、どのような時に成立しない(もしくは効力を発揮しない)の か、また、魚種の構成や気候・気象条件といった自然科学的な特質が、様々な管理手法の選択にどのような影響を与えるのかについて分析 し、海の恵みを適切に利用するために必要となる条件や、国際的な海洋ガバナンス構築のあり方についての示唆を得る。

公海における漁業者の協調生成メカニズムの経済分析:生物多様性と漁獲行動の調和

研究者数: 2名:研究報告

研究代表者 東田 啓作 関西学院大学経済学部・ 教授
連携研究者 柴田 孝 大阪商業大学経済学部・ 准教授

  1. 循環資源貿易:循環資源とは、リサイクル可能な廃棄物のことで、廃ペットボトル、鉄クズ、銅クズ、古紙などです。これらの貿易量が過去数十年間コンスタントに増加しています。廃棄物といっても資源ですから、この貿易は資源の効率的な利用を促進します。一方で、発展途上国の一部では処理技術が遅れているため、環境問題や健康被害を発生させます。望ましい貿易ネットワークと国内制度を構築していくことを考えています。
  2. 貿易と規制:貿易は過去数十年間、着実に増加してきています。関税や数量規制などの貿易政策は取り除かれてきました。一方で、環境規制、特許制度などの国内規制や制度の違いやその調和については、議論の余地が残されています。どのような規制の在り方・ルールが望ましいのかを考えています。
  3. 水産資源管理:現在世界レベルで水産資源が減少していると言われています。日本近海でも、魚種によっては深刻な状況にあります。漁獲を減らすと漁業従事者の所得が減少します。水産物需要が増加し、また水産物(加工含)貿易が増加する中で、望ましい水産資源保護の戦略を考えています。特に、経済学を用いて、漁業者の(協調)行動を分析しています。

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