科学研究費補助金 新学術領域研究「新海洋像:その機能と持続的利用」

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若手研究者海外派遣報告(東京大学大学院農学生命科学研究科 山口珠葉)

2015年7月下旬の約1週間、NEOPSの若手研究者海外派遣プログラムの援助をいただきまして香港科技大学で開催されたClimate Change and Marine Ecosystems Summer Courseに参加してきました。


大学正面入り口。

このサマーコースは若手研究者を対象としており、全球的な気候変動が海洋環境や海洋生態系に与える影響について、とりわけ海洋温暖化と酸性化について理解を深める内容となっていました。海洋化学や生物などの各界から著名な研究者らが講師として招かれ、5日間のサマーコースは主にこれらの方々による講義形式で進められました。

私の研究内容は貧栄養海域における植物プランクトンの栄養塩利用であるため、普段から地球温暖化といったテーマを扱ってはおりません。ですが、水温などの物理環境が強く反映する栄養塩循環や、生態系の中でも環境変動への感受性の高い植物プランクトンを対象としているという意味で、今回のサマーコースは非常に有意義なものとなりました。

講義の中では参加者同士でディスカッションをすることもあり、また海辺の立地を活かした実験室の見学などもさせていただきました。さらに、コースの後半では急遽予定を変更して若手参加者と講師陣らがより積極的に交流できる場を設けるなど、全体を通して自由に誰とでも意見交換ができる雰囲気となっていました。


大学からの景色。

また、期間中には任意の参加者による研究内容のポスター発表も併せて行われ、私も卒業研究の内容を主とした発表を行いました(タイトル:Phosphate release due to excess alkaline phosphatase activity of Trichodesmium erythraeum)。窒素固定性藍藻であるTrichodesmiumをリン酸塩の枯渇した条件で培養し、その生理的応答をみた研究結果で、蛍光基質を用いて酵素活性を可視化した蛍光顕微鏡写真は特に評判でした。また、培養株ならではの問題点などを鋭く指摘されるなど研究の課題を再認識させられた場面もあり、こうしたやりとりが新しい研究へ繋がっていくのだと実感できました。

これらの貴重な経験を通して得られた数々の刺激などを自身の研究へと還元すべく、今後も一層精進したいと考えます。最後に、渡航の補助をいただきこのような機会を与えてくださったNEOPSの若手研究者海外派遣プログラムには深く感謝申し上げます。

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