A04 新たな海洋像と社会制度
新海洋像: その持続的利用を図る国際レジーム
研究者数: 3名
研究代表者 | 八木 信行 | 東京大学大学院農学生命科学研究科・ 准教授 | |
研究分担者 | 中田 達也 | 東京海洋大学大学院海洋科学技術研究科・ 准教授 | |
研究分担者 | 都留 康子 | 中央大学法学部・ 教授 |
本課題は、海の恵みを国際社会が最適利用するのに必要となる条件を、国際法の実施側面と国際政治の観点から明確化させることを目的とする。国際的な約束は、強制力を有する条約であってもその遵守を担保することは難しい。これは、条約に異議申し立て条項などが存在していること、条約からの脱退が基本的に自由であることなどに起因している。また、その逆に、国際的な約束が欠如している中であっても、他国に対して自国の基準を押しつけるケースも見られる(世界貿易機関[WTO]におけるエビ・カメ事件など)。このようなケースでは、その判断が、その法的性質の存否を超えて、論理としての正当性を兼ね備えているとみられるとき、国際社会における規範の発見または提示機能に着目して、いわゆる裁判所漁り(forum shopping)が生じる可能性がある。また、これを積極的に活用するか否かは、国によって異なると考えられる。そこで、本研究では、アンケート調査などを通じ、各国政府の行政官などの問題意識を把握し、このような国際的な差異が生じている原因を特定するとともに、諸外国の行政組織に対応する際の戦略を明確化させる。また結果を他班にフィードバックさせ、ターゲット特性に合わせた科学調査(項目A01およびA02)や科学コミュニケーション(項目A03)戦略を、より効果的に確立させる。
海洋科学との接続性を考慮した海洋ガバナンスの構築
研究者数: 5名
研究代表者 | 松浦 正浩 | 明治大学専門職大学院ガバナンス研究科・専任教授 | |
研究分担者 | 許 淑娟 | 立教大学法学部・准教授 | |
研究分担者 | 西本 健太郎 | 東北大学大学院法学研究科・准教授 | |
連携研究者 | 奥脇 直也 | 明治大学法科大学院・教授 | |
連携研究者 | 城山 英明 | 東京大学公共政策学連携研究部・教授 |
新海洋像は海洋に係る自然科学の多様な領域を包含しており、多様な海洋ガバナンスと海洋科学との接点が本研究課題の焦点である。海洋科学の検討結果を国際法や国内政策へと一方的に反映させるのではなく、科学的検討と海洋ガバナンスの間に意味のある応答を実現する可能性に着目する。第一に、海洋科学と交錯する国際、国内の海洋ガバナンスに係る枠組みを特定し、海洋科学の専門的知見を導入する仕組みを比較分析する。第二に、海洋分野に限定せず、自然科学との意味のある応答を実現しているガバナンスの枠組みについて事例研究を行い、その特徴と形成過程について詳細に調査を行う。第三に、上記の事例研究で得られた知見に加え、科学哲学、科学技術社会論などの関連領域の知見を参考に、新海洋像において海洋科学との相互作用を実現する海洋ガバナンス構築のあり方についてロールプレイなどを活用して検討する。